2014年12月 新着標本
ミュンヘンミネラルショーで購入した標本の紹介です。サイズや値段を紹介していますが、紹介しているもの以外にもたくさん入荷しています。
20141101
マライ共和国のエジリン
Mt Malosa, Zomba, Malawi
以前にも何度か入荷していますが、大変人気があるので今回も入荷しました。エジリンはNaFe3+[Si2O6]でFe3+がAlに代わると翡翠輝石に
なります。結晶系も同じなのでエジリンと翡翠は同じ仲間の石と言うことになります。見た目はかなり違いますが。エジリンは黒っぽい微細な針状結晶の集合で
産出することが多いが、マライでは大きな四角柱状結晶が出ることで有名です。中には一辺が2㎝、長さが10㎝を越すような結晶もあります。ただし、大きく
なればなる程結晶がルーズになることは避けられません。何でもそうですが安く売るためには安く仕入れる必要があります。私の知る限り、イタリアの業者なの
だが、マライのアルカリ閃長岩ペグマタイトの鉱物を一番安く販売していると思います。
並品の価格例
(1)大きめの単結晶(直径が10㎜以上)¥25/g前後 (例)25×60㎜の柱状結晶 42gの場合 ¥1,100
16×80㎜の柱状結晶 34gの場合 ¥900
(2)直径が10㎜以下の小さめの柱状結晶(重さは価格に関係ありません) (例)7×65㎜の柱状結晶の場合 ¥300
5×45㎜の柱状結晶の場合 ¥150
上記価格は参考例です。いろいろな大きさ、いろいろな価格のものがあります。
上記は並品の価格です。良品はおよそその二倍の価格が目安です。
20141102
シシリー島の硫黄を伴うアラレ石(蛍光鉱物) 本来ならば硫黄が主役なので「アラレ石を伴う硫黄」とするべきところですが、あえて上のような表現にしました。なぜなら、この産地のアラレ石は長波紫外線
を照射すると見事なあんず色の蛍光を発するからです。付着している硫黄は欠けているものも多く、評価できませんが、蛍光鉱物としてのアラレ石の方を評価し
ています。
20141103
エルバ島の赤鉄鉱(鏡鉄鉱)を伴う黄鉄鉱 以前にも入荷しましたが、大変良く売れたので買いそびれた方のために比較的買いやすい小さな標本を再び入荷しました。安めに販売できるものと思っています。
この産地では黄鉄鉱が先に結晶し、その後から赤鉄鉱が表面や空隙に結晶しています。 (1) 直径30㎜前後 ¥300
(2)35×35㎜前後 ¥1,500
(3)30×40㎜の良品 ¥2,000
(4)直径45㎜前後の良品 ¥2,950
※上記価格はほんの一例です。同じ大きさ、重さでも結晶の程度で価格差があります。
20141104
エルバ島の赤鉄鉱(鏡鉄鉱)
Rio Marina, Isola d’Elba, Italia 鏡のように反射する結晶になったものを特に鏡鉄鉱(きょうてっこう、かがみてっこう)と呼んでいます。エルバ島の赤鉄鉱はまさに鏡鉄鉱の代表と言っても過言ではない程美しい結晶の集合になっています。
(1)25×25㎜程度の群晶 ¥350
(2)40×50㎜ ¥890
(3)45×55㎜ ¥1,460
(4)55×80㎜ ¥2,950
¥10/g 80gから400g位まであります。
20141105
中国のスコロド石
中国広西省チワン族自治区賀州市 ルーペや顕微鏡で見るのは面倒だと思われている方のために、肉眼でも見える結晶が集合している標本を入荷しました。と言っても老眼の場合はルーペが必要です。スコロド石の模式標本としてぜひお求め下さい。
(1)10×15㎜程度の岩に1~2㎜程度の光沢が強い結晶が集合 ¥950
(2)15×20㎜の岩の空隙に1~2㎜程度の光沢が強い結晶が集合 ¥1,500
(3)15×40㎜の岩の空隙に1~1㎜程度の光沢が強い結晶が散在 ¥2,500
(4)20×30㎜の岩全体に結晶が散在 ¥3,500
上記以外にもたくさんあります。
20141106
単結晶シリコン シリコン結晶の端っこを切断した釣鐘のような形のシリコンで、薄く切って表面を磨いたものはコンピュータチップとして利用されています。小さくて値段が手頃なものを入荷しました。
また、輪切りにしたものもあります。
(1)釣鐘のような単結晶シリコン(底面の直径×高さ) 35×55㎜(47g) ¥2,700
80×70㎜(250g) ¥13,800 85×130㎜(531g) ¥18,200 95×130㎜(654g) ¥22,400
上記以外にもいろいろな大きさの単結晶シリコンがたくさんありますが、すべて一品品ですのでご指定の価格に一番近いものをお送りします。
(2)輪切りにした単結晶シリコン
直径38㎜×厚さ9㎜ ¥900
直径50㎜×厚さ5㎜ ¥1,000
シリコンは通常三段階のプロセスを経て作られます。
(1)珪石から酸素を取り除く第一段階 純度99%の金属シリコンが出来ます。
(2)金属シリコンから多結晶シリコンを作るプロセス 純度99.9999%のシリコンが出来ます(太陽光発電のパネルなどに利用)
(3)多結晶シリコンから単結晶シリコンを作るプロセス 純度99.9999999999999%(15N)(コンピュータなどの基盤に利用)
※純度は精製方法により多少の違いがあります。
20141107
多結晶シリコンもたくさん入荷しています(¥10/g)。50g~500g位までいろいろな大きさの塊があります。割ったものだが結晶面はすべてに残っています。
20141108
アルプスの右水晶と左水晶
Wallis, Schweiz (Switzerland)
淡い煙水晶、水晶は二酸化珪素(SiO2)が規則正しく並んで出来た結晶ですが、その結晶は螺旋状に並んでいます。この螺旋が右回りの水晶を右水晶、左回りの水晶を左
水晶と言います。すべての水晶は右か左のどちらかです。中間はありません。しかも、その割合は1:1になっています。ただ、右水晶か左水晶かの見分けるに
は特殊な光学器具が必要ですが、非常に希に肉眼でも見分けられるものがあります。
水晶は6つの柱面(m面)と6つの錐面(r面)で出来ているが、非常に希に柱面の右上又は左上に微少な面(x面)が現れている水晶があります。フランスの
鉱物学者ルネ=ジュスト・アユイ(1743年~1822年)はこの微少面に着目し、この面が柱面の右側に現れているものは右螺旋構造になっており、左側に
現れているものは左螺旋構造になっていることに気づきました。
一般的にx面が現れている水晶は非常に少ないが、アルプスの水晶には比較的多くこの面が現れています。
(1)10×20㎜より小さめ ¥500
(2)10×20㎜より大きめ ¥700
(3)10×30㎜より小さめ ¥800
(4)10以上×25㎜以上 ¥950
※右か左かを指定してください。店舗には左右を分けて置いてきます。
20141109
パキスタンの石油入り水晶 錐結晶。パキスタンの業者はパキスタンハーキマーとして売っているが、中には石油が入っているものもある。水晶の中に入っている石油は長波
紫外小さな水晶の両線を照射すると明るい青色の蛍光を発するので識別できる。(オイルの部分は大変小さいので紫外線照射のみで確認できます)。
10㎜程度の両錐の単結晶 ¥300均一
20141110
ストロマトライト
Precambrian-Cambrian boundary beds, Anti-Atlas, Morocco モロッコ産の先カンブリア紀のストロマトライト。層状に堆積した内部がわかるように切断面を出しています。これは正真正銘のストロマトライトです。
(1)大人の手のひらからかなりはみ出す大きさ ¥21,600
(2)大人の手のひらより少し大きめ ¥15,600
ちなみに、現在、多くのモロッコの業者が販売している赤茶けた同心円状の方解石コンクリーションには弊社は疑問を持っています。時代も業者によって違って
いるし、切断しても切断面はのっぺらぼうでストロマトライトの特色である層状の堆積跡が見られません。世界中(日本でも)で非常によく売れているみたいだ
が、これは間違いなくストロマトライトだと断言できる研究者の方がおられたら、ぜひ、ご教示いただきたいと思います。見本を数個購入していますので、調べ
てみたい方がおられましたら原価(500円+送料)で提供します。ただし、検査結果を知らせてください。(調べたけれどもわからなかったでも構いませ
ん)。
20141111
アラレ石(バイカラーアラゴナイト)
La Pesquera, Cuenca, Spain
「たかがアラゴナイト、されどアラゴナイト」という標本。
スペインのアラゴン地方はアラレ石の産地として有名で、英語の「アラゴナイト」という名前もこの地方に因んでいます。石膏の中から四周完全な三連双晶の六
角柱結晶で産出します。これまで一般に出回っているアラレ石は茶色のものが多いが、今回のアラレ石は透明感のある白色の六角柱状の周りを紫色のアラレ石が
袴のように取り巻いているものです。光沢も大変すばらしく、光りをあてるとキラキラと輝いて見えます。
(1)直径25×高さ35㎜の結晶 ¥2,160(在庫中最安値です)
(2)直径25×高さ50㎜の結晶 ¥3,460
(3)直径30×高さ50㎜前後の結晶 ¥5,200
上記以外に¥6,500、¥8,640、¥10,800、¥12,500などもあります。
価格は大きさ、全体の美しさを基準に決定しています。
※このアラゴナイトはあまりにもきれいなので、表面を溶かすなどの何らかの処理を加えているのではないかと疑問を持ち始めました。現在調査中です。
もう一つは紫味を帯びた従来のアラレ石だが、石膏の中に埋もれた母岩付きです。この地方のアラレ石の産状を知る上では大変珍しい標本です。単結晶は
20141112
ギべオン隕鉄スライス 格子状のウィドマンシュタッテン模様がはっきりとわかるように板状にスライスして表面をエッチングしたものです。 ギべオンは毎年のように値上がりしており、弊社がこの20年近く購入している南アフリカの業者もギべオンが手に入らなくなったし、今年で80歳になるのでそろそろ引退して年金生活を考えていると話していました。
彼から買うことが出来るのも今年で最後かもわからないと思いつつ、大小様々合わせて少し多めに購入しました。 価格の目安 ¥370/g+消費税
20141113
イタリア産のエレスチャル水晶 イタリアのボローニア地方から産出する美しいエレスチャル水晶です。このイタリアの業者からは毎年いろいろな鉱物を大量に購入しているので、今回も、新し
く入荷したこの水晶をテーブルに並べることもなく、私だけに見せてくれました。できるだけ手頃な価格で販売できるよう、彼らと交渉し、少しでも安くしても
らうために、結局はすべてを購入することになりました。と言ってもそれほど量は多くないが。エレスチャル水晶はメキシコ、ブラジル、パキスタン、インドな
ど多くの国のものが出回っていますが、ヨーロッパ産となると多少のプレミアム価格になるかと思います。
価格は大きさではなく、骸晶の多さや全体の形などによって決定しています。
¥4,500、¥5,500、¥8,600などがあります。
20141114
灰鉄輝石入り水晶(緑水晶) エルバ島産の緑水晶。緑色の原因は微細な灰鉄輝石の結晶を含んでいるためです。小さな水晶が集合した群晶になっています。価格は単なる大きさではなく、個々の水晶の品質、全体の大きさやバランスにより決定しています。緑水晶なのでそれなりの評価はしています。
¥1,200~¥9,000まであります。
20141115
ホタル石 マダガスカル産の緑色で透明感のないホタル石の塊で、ミュンヘンのミネラルショーの準備日から2日目(全部で4日間)までは、1個も売れていませんでし
た。この品質のホタル石としては値段が高すぎます。何度も前を通り過ぎながら、どうしてこんなに高いのかと思い、持参していた長波紫外線ライトを照射して
みました。何と、青色の蛍光を示すではないですか。早速、全部買うから安くならないのかと売り主と交渉。売り主はちゃんと青い蛍光を示すことを知ってい
て、なかなか値下げをしない。結局、表示価格の半額で全部買うことにした。それでも高いと思うが、青い蛍光のホタル石は珍しいので、了解してください。
小さなもので ¥1,620(税込み)くらいになります。マダガスカルのホタル石はほとんど出回っていないので、将来広く出回れば安くなる可能性もありま
す。
20141116
チェリャビンスク石質隕石(コンドライト) 2013年2月15にロシアに落下した隕石。この隕石は居住地区の積雪の上に落ちたので、隕石を見たことがない住民でも容易に拾うことができ、多くは落下
後一週間で回収されました。そのため焼け溶けた表面が大変新鮮なまま残っています。弊社では2013年10月よりかなりの量を販売しましたが、多くのお客
様が1,000円から2,000で買える比較的安いもの(小さなもの)を求めておられるので、今回も小さなものを中心に仕入れました。ルーペで見ると表面
の焼け溶けた跡がはっきりとわかります。もちろん30万円を越すような大物ものもありますので、ご希望の価格をお知らせ下さい。
この隕石は話題性と新鮮さのためにサハラ砂漠で回収されているコンドライトの10倍から20倍の価格で取引されています。
※偽物が出回っているのではないかとの指摘がありますが、砂利を拾ってきてたき火に入れるか、ガスバーナーで焼いてみてください。表面に黒いススが付くかもわかりませんが、表面が溶けることは絶対にありません。
また、自然鉄を含むこともコンドライトの鑑別基準ですが、自然鉄を含む石がたまたまこの隕石が落下した地点にあったとは考えられません。
20141117
パリサイト(Parisite)
Ca(Ce,La)2(CO3)3F2 マライ共和国ゾンバのマロサ山に広がるアルカリペグマタイトから産出するパリス石については、誤認しているのではないかという議論が続いている。何かわか
らない鉱物が雲母に代わった仮晶だとか中心部はパリス石だが表面は雲母に変化している、茶色っぽいものは表面が褐鉄鉱に変化したパリス石の仮晶だとかの議
論がある。
恐らく今回購入した標本も結晶の形はパリス石だが表面が雲母化した仮晶だと思える。内部までは弊社の分析能力外なのでわかりませんが。
ただ、結晶はすばらしく、かつてはフランスの「サン・マリーミネラルショー」のポスターの写真にも使われたもの(私の記憶違いかも知れませんが、何らかの出版物に写真が載っていました)と同じくらいの標本です。
20141118
エピジジム石(Epididymite)
NaBeSi3O7(OH) マライのアルカリ・ペグマタイトからエジリンや水晶を伴って産出する鉱物。白い板状結晶が重なったような形をしています。今回は、母岩から外れた大きめの結晶をたくさん入荷しました。
大きさに応じて¥3,000から¥5,000位まで。
20141119
シュンガ石
ロシアのカレリア共和国から産出する無煙炭と石墨の中間の鉱物(?)で、この中から天然のC60フラーレンが発見されたこ
とは有名です(京都大学)。しかし、フラーレンは簡単に製造することが出来るので、この石から抽出することはありません。 2種類のシュンガ石が産出しています。一つは断面が貝殻状になる光沢の強い黒い塊です。ほぼ100%の炭素で出来ていると報告されています。この種類は数
㎝の厚さで母岩の石墨を貫いており、手堀で採掘されています。割れやすいのでアクセサリーなどに加工することは出来ません。これを「エリートシュンガイ
ト」と呼んでいるロシア業者もいます。 もう一つは光沢のない黒い塊で、石英が主体となっているものです。約30%が炭素(シュンガ石)です。北海道のジェムシリカに似ています。現地では無尽蔵
に埋蔵されており、大規模な露天掘りが行われています。一般的にシュンガ石と言うとこちらを指しています。こちらの石は工業的に利用されると共に、シュン
ガ石の様々な加工品、ネックレス、ブレスレットなどのビーズ、球、ピラミッド、六面体、タンブルなどに加工されています。
この原石は「エリートシュンガイト」の10分の1から20分の1の値段で取引されています。当然ながら加工品は多少高くなっています。 シュンガ石は20億年前に生成されたと考えられ、地球上で唯一ロシアのカレリア地方でのみ見つかっています。謎の多い石で鉱物としてはまだ認定されていません。 この石に関しては興味深い話があります。1709年バルト海の覇権を巡ってスエーデンとの間に戦争がありました。この時、両軍共に下痢などの内臓疾患に悩
まされたそうだが、「ポルタヴァの戦い」のとき、ロシア軍はシュンガ石の携帯を義務づけられておりそれで浄化した水を飲むことにより内臓疾患から解放さ
れ、四万五千人のスエーデン軍を撃破して勝利したと言うことです。この話は本当かどうかわかりませんが、「ポルタヴァの戦い」は歴史的事実です。これによ
りロシアはバルト海の制海権を得ました。 シュンガ石の効能については弊社は知識不足なので、強調することは出来ませんが、インターネットなどにいろいろな効能が書かれていますので、参考にしてく
ださい。ただし、弊社では輸入時の申告は標本、研究用試料としており、食品としての検疫は受けていませんので、シュンガ石で浄化した水を飲むのはお奨めし
ません。あくまでコレクション用標本です。
価格は
エリートシュンガ石
大きめ ¥170/g(10g~80g位まで) 小さめ ¥200/g(1g~10g位まで)
一般的な光沢のないシュンガ石
約60g入り¥850(税込み)(手で触ると手が黒く汚れます)
20141120
重土十字沸石(Harmotome)
Middleshop Mine, Strontian, North West Highlands, Scotland, United Kingdam
四角柱状の微細な結晶が集合。十字型双晶になっているものは確認できないが、産出が大変希な鉱物です。
(1)35×40㎜前後 ¥1,950
(2)45×60㎜程度 ¥3,250
◎その他
普通角閃石の大きめの結晶(ノルウェー)
ベスブ石の良品(中国)
スコロド石(中国)
ドイツアイフェル火山地帯のマイクロマウント用鉱物(ブラウン鉱、灰バン石榴石、レッダー石、レーン石、針状結晶のトパーズ、アウイン)など
(株)クリスタル・ワールド 湯山 廣敏
|